愛媛県議会議員 松尾 和久 公式ホームページ

文字サイズ

2020.9月議会一般質問原稿・答弁概要

おはようございます。自由民主党の松尾和久です。

 

新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた皆様のご冥福を心からお祈りいたします。また、感染された皆様にお見舞い申し上げます。

新型コロナウイルス感染症が世界を巻き込み猛威を振るうこの間、医療の最前線で県民の安全のために奮闘してくださっている医療関係者の皆様には心からの敬意を表し、感謝申し上げます。

9月19日、7年8ヶ月に及んだ安倍政権が総辞職し、菅新政権が発足致しました。第二次安倍政権がスタートした当時、デフレに苦しみ株価も低迷する中、アベノミクスを掲げ、経済政策を強く推し進めてきた結果、経済成長と雇用の回復を寝し遂げました。また、「世界を俯瞰する外交」を掲げ、世界の中で各国との個別的な協定、パートナーシップを構築してきたことは評価されるところだと思います。一方で、拉致問題や、憲法改正など最重要課題に掲げながら解決できなかった点は残念な思いがするところであります。菅政権は、安倍政権の継承と発展を掲げスタートいたしました。こうした積み残された課題に全力で取り組んでいただきたいと思います。また、コロナ禍の中で明らかになった、世界に大きく遅れをとっているデジタル改革に取り組むことを前面に打ち出しており、次の世代でも世界の中で日本が「輝く日本」であるためにはやらなくてはならないことであると思います。菅政権には次の世代へ引き継ぐ日本の土台づくりに期待したいと思います。

そこでまず、G I G Aスクール構想の実現に向けた取り組みについてお尋ねいたします。

 

「G I G Aスクール構想」とは「児童生徒向けの一人一台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」であります。2019年12月に文科省が打ち出したこの構想は2020年4月新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言に伴い、オンライン化の流れが加速されたことなどを受け、G I G Aスクール構想を早期実現するための支援などを、積極的に推進すると文科大臣が表明し、前倒しの政策が打ち出されているところであります。

国は令和元年度補正予算、令和2年度一次補正予算で、小・中・特別支援学校等における1人1台端末の整備に対し、国公立には定額で上限45,000円、私立へは補助率2分の1で上限同じく45,000円の補助を行うなど、環境整備を加速化しており、当初のスケジュールでは2023年度中の達成を目標としていた一人一台端末整備について、2020年度中の完了を目指しているところであります。

Society5.0時代を生きる子ども達にとって、教育におけるI C Tを基盤とした先端技術の活用は必須であり、そのためには教育現場におけるICT環境の整備が急がれるものであります。

今般のコロナ禍にあって、緊急事態宣言の下、社会のニーズは大きく変化したと感じています。一般社会のデジタル化が大きく進む中、学校現場が取り残されているとも指摘されており、充実させていかなければなりません。

子ども達にとっても長期の休業を経験し、リモートでの授業などこれまでにはない新たなスキルが必要とされる時代が早回しで到来したように思います。当然、対面での授業や、友達と触れ合いながら共に学び、コミュニケーションを取る中で経験を共有し、人と繋がっていくことの大切さも改めて見直されたところであります。従来の学びも大切にしながら、新たな時代へ向けての学びを進めなくてはなりません。

I C T教育のメリットは、①子どもの学びへの興味関心を引き、主体的に学ぶ力を育み、学習内容の理解を深めることや、②一人一人がP C端末を活用することで一斉授業と異なり、それぞれの理解度や関心に応じて個別に最適化された学びができることなどが挙げられております。

G I G Aスクール構想の実現には「ハード・ソフト・指導体制」の一体的取り組みが必要です。I C T環境整備の抜本的充実の「ハード面」、デジタルでの学びの充実、デジタル教科書などデジタルコンテンツの活用、A Iドリルの活用などの「ソフト面」に加え、日常的にICTを活用できる指導者養成等の「指導体制」の構築の三位一体での取り組みが基本になければなりません。

こうした取り組みをいち早く進めながら、将来を担う子どもたちの教育環境を整え、愛媛の子どもたちが時代に取り残されることがないよう推進していただきたいと思います。

そこでお伺いいたします。

1人1台端末環境をはじめとするICT環境整備の加速と併せて、新たな授業スタイルの確立や、コンテンツの充実などソフト面の改革も進めていき、デジタルならではの学びの充実を図り、多様な人材を育てていく必要があります。

こういったことを踏まえ、県内の教育現場では教科書を始めとした教材においてI C T活用をどのように進めていくのかお聞かせください。

 

答弁(教育長)

ICT教育の効果を高めるためには、ICTの強味を活かすデジタルコンテンツの活用が不可欠であり、学習支援アプリなど民間のデジタル教材の積極的な導入に加え、教科学習の主教材である教科書についても、今般の学習指導要領の改訂に伴い、中学校は令和3年度から、高校も4年度から、教科書に登載されたQRコードにより、豊富なデジタル教材と効果的に連携できる環境が整う見込みとなっている。

また、特別支援学校においても、1人1台端末の導入に合わせて、視覚障がい児用の点字変換機器や、聴覚障がい児用の音声文字変換システム等の支援装置を配備するほか、障がいの重い児童生徒が視線や呼吸により入出力ができる装置を配備するなど、障がいの特性や発達段階に応じてICT機器やデジタル教材を有効に活用できる質の高い教育の実現に向けて準備を進めているところ。

これから教育現場では、教科書に沿った映像や音声資料のほか、練習問題や発展的学習素材などのデジタル教材が幅広く利用可能となることから、これらを有効に活用し子供の興味関心に応じた学習の広がりや理解の掘り下げ、個別の習熟度に合わせた効率的な学習など、一人一人の能力と主体性を最大限に引き出す学びの実現に努めて参りたい。

 

 

また、ハードとソフトの整備が整っても実際に教壇に立つ教員がICTを使いこなせなければ意味がありません。その観点からもGIGAスクール構想の実現には指導体制の強化も重要となっております。多忙な中、I C T教育への不安を持つ先生も出てくると思いますが、教員のI C T活用スキルの向上に向けて、どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。

 

答弁(教育長)

県内全ての公立学校で1人1台端末体制が整い、ICTを活用した教育が本格的に始動する状況を前に、その効果を県内遍く発揮させるためには、優れた実践事例や活用方法を広く共有させるとともに、教員のICT活用スキルや指導力の向上を図ることが急務と認識している。

このため県教育委員会では、今年度下半期に、小中高校及び特別支援学校の教員を対象として、ウェブ会議システムを使った遠隔授業やデジタル教材作成に必要な技能の習得、ICTを活用した授業設計の手法など、現場ニーズに応じた実践的な研修を、民間の知見も活用しながら集中的に実施するほか、学識経験者や教員で組織する協議会を中心に、ICT教育を体系的に推進するためのガイドラインを策定し、発達段階に応じた教育プログラムの構築を進める。また、市町も独自に、地域の実態に即した研修会や専門家による訪問研修を実施しており、オール愛媛体制でGIGAスクール構想の実現に向けた取組みを加速させている。

ICT教育は、子供たちが新たな時代を豊かに生きるために必要不可欠な「学び」であり、教員の資質向上はもとより優良教材の製作と共有化などソフト面にも注力しながら、全県下で質の高いICT教育が展開されるよう全力で取り組んで参りたい。

 

次に「本県農業の振興」についてお伺いいたします。

 

愛媛県における基幹的農業従事者数は平成2年に63,783人であったのが、平成27年では35,175人に減少しており、5年に一度行っている農林業センサスの令和2年の最新の数字が発表されれば、さらに減少していることが推察されます。また、構成を見ると、平均年齢は68.5歳となり、65歳以上が占める割合は69.5%となりました。さらに、生産農業所得も平成2年に879億円であったものが、平成30年には498億円へと減少しております。

そのような中、県におかれましては、「えひめ農業振興基本方針2016」を策定し、担い手の確保、育成を推進するため農業大学校において就農希望者や、担い手の育成のための塾を開講したり、多様な営農に対応できる農地や灌漑施設の整備などに取り組んでおられます。また、国内のみならず海外への販路開拓や、農産物のブランド化、有望品種の導入による消費者ニーズにあった農産物の生産など、愛媛農業を支えるため、各政策を推し進めていただいているところであります。

 

そういったことを踏まえて、まず、「人・農地プランの実質化」についてお尋ねいたします。

「人・農地プラン」は農業者が話し合いに基づき、地域農業における中心経営体、地域における農業の将来のあり方などを明確化し、市町村により公表するもので、平成24年に開始されました。平成30年度末現在で、全国1,583市町村において、15,444区域で作成されています。しかし、中には地域の話し合いに基づくとは言い難いものもあったようです。

そこで、人・農地プランを地域の話し合いに基づくものにする観点から、アンケート調査を実施し、その調査結果や話し合いを通じて、地図による現状把握を行った上で、中心経営体への農地の集約化に関する将来方針を作成し、人・農地プランをより実効性のあるものにしようとする取組みが「人・農地プランの実質化」であります。

私の住む地域でもすでに「人・農地プラン」は作成していましたが、今年度実質化を進めることとなっております。まず、おおむね5年から10年後の農地利用に関するアンケート調査が行われました。これはそれぞれの農業者の農地について、5年後誰が農地を利用しているのか、もしくは10年後の利用の目処がついているのかなど、農地それぞれの将来について調査するものであります。

今後その調査結果などを地図に落とし込み、5年から10年後に後継者のいない農地の面積を「見える化」した上で、市や、農業委員会、J A、土地改良区などの関係団体や農業者などが話し合い、地域の中心となる経営体への農地の集約化に関する将来方針を作成していくこととなります。

こうした取り組みを進めていくことにより、愛媛の農業を将来へ継承していけるものとしていかなければなりません。そこでお伺いいたします。

「人・農地プランの実質化」を市町で進めていく中で県としてどのような効果を期待するのか、また、プランの実質化を通じて本県の農業のあるべき姿をどのように描いていくのか県としてのご見解をお聞かせください。

 

答弁(農林水産部長)

人・農地プランは、地域の農地や担い手等の実情を把握し、5年から10年先の将来像を描くことで、耕作放棄地の発生を抑制し、地域農業を継承していくための設計図とするものであり、本県では、農業集落全体の9割以上で作成され、昨年10月から、将来の農地の担い手を具体化する実質化が進められているところ。

実質化の過程では、将来の農地利用に関するアンケート結果を地図化したうえで、農地の出し手と受け手、農業委員等が、「地域の農地を誰が、どのように守っていくのか」を徹底して話し合うことから、地域の歴史や現状、課題等を共有できるとともに、先人の知恵を継承した、結束力と共同意識の高い営農体制が再構築されるものと期待しているところ。

柑橘を中心に多様な農業が展開されている本県においては、担い手への集約化ばかりでなく、都市部からの人材受入れを含めた新規就農や集落営農の法人化など、地域の実情に応じた様々な就業・営農の形態が考えられ、実質化に向けた議論を通じて地域の将来の姿を共有し、国の制度も活用しながら確実に実行に移していくことが肝要であり、県としては、地域の意向を尊重しつつ、持続可能で競争力のある愛媛農業が実現できるよう支援して参りたい。

 

続いて、コロナ禍における農業の振興についてお尋ねいたします。

今回、新型コロナウイルスの感染拡大によって、外出自粛による外食需要の低迷や、イベント中止等の経済活動の縮小による販売機会の損失、外国人技能実習生が来日できないことや、収穫期などに多くの人を必要とする現場での、3密回避などの感染予防対策への不安による労働力不足など、農業にも大きな影響が出ました。

そうした中、国は影響を受けた農家に対し品目を問わず、販路の回復・開拓や事業継承・転換のための機械・設備の導入や人手不足解消の取組みを支援するため、100万円を上限に必要な経費の4分の3を補助する「経営継続補助金」を設けました。我が集落でも5年後、10年後の池の土手の草刈りの担い手が減少することを見据え、有志が協力して、この制度を活用し「リモコン草刈機」の導入を申請いたしました。これはコロナ対策として大勢が集まっての草刈りではなく、3密回避などの感染防止対策を行いつつ将来を見据えて、事業を継続するための新たな取り組みとして行いました。このことは他の地域からも問い合わせがあるなど、注目されました。このように、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけとして、それぞれの地域においても将来への不安を共有し、どうすれば担い手の負担を軽減し、農業の継承、継続が可能になるのか、新たな取り組みを模索する動きもあります。

そこでお伺いいたします。

新型コロナ感染症の感染拡大により影響を受けた農業経営や担い手不足への支援と併せて、新しい生活様式を踏まえた、販売機会の確保などへの支援も重要だと考えますが、コロナ禍における農業の支援をどのように進め、今後の農業振興へどうつなげていくのか県のお考えをお聞かせください。

 

答弁(知事)

コロナ禍による農業への影響は、品目によって影響の出方や大きさが異なり、大幅な需要減少や価格下落により生産者の再生産サイクルの維持が危惧されるケースも生じていることから、これまで経営継続を第一に考え、市町や関係団体等と連携して、様々な支援に取り組んできたところ。

県では、地方局の支援チームが各農家の状況を把握したうえで、国の補助金等の活用をサポートするなど、きめ細かな支援を行っているが、こうした取組みを通じて、イベントの中止等による花きやお茶などの需要減少などを把握したため、必要な予算措置を講じるとともに、関係団体・企業の協力を得て需要を喚起し、販売業者も含めて業界全体を支援してきたところ。また、価格下落で採算ラインを割っている牛肉等については、再生産に必要な資金の一部を助成している。

今後は、地産地消への意識の高まりやECサイトでの購入の増加など、新しい生活様式の定着に伴う消費動向の変化を捉え、オンラインと実際の展示販売等を組み合わせた新たな販促イベントの定着を図るとともに、国の「Go To Eat」も追い風に、需要回復と更なる拡大に努めるほか、収穫期を迎える柑橘現場の労働力確保や、スマート農業の導入等による生産性の向上を支援するなど、オール愛媛体制で、産地間競争の激化にも打ち勝てる強い愛媛農業の実現を目指して参りたい。

 

次に医師確保対策についてお尋ねいたします。

 

全国的に医師不足が叫ばれる中、本県においても医師不足、偏在が課題となって久しくなっております。

2010年に厚生労働省が全国の病院や分娩取扱い診療所を対象に行った「病院等における必要医師数実態調査」によれば、調査票の提出があった全国の医療機関で167,063人の医師が勤務しているものの、必要数は24,033人不足しており、全国的に医師が足りていないことが明らかになりました。また、医師自体の不足に加え、都道府県ごとの必要医師数の現員医師数に対する倍率には地域差が見られ、地域による偏在等が明らかになり、地域によって受けられる医療の質に違いが出ることや、地方の病院の存続にも関わることが危惧されてきました。

2019年に国が発表した2年に1回実施する「医師・歯科医師・薬剤師統計」によりますと、2018年末における全国の医師数は327,210人で、前回の調査に比べて7,730人増加しています。単純計算で一年に約3,800人の医師が増加しています。それでも地方において医師不足と言われる原因は冒頭に申し上げましたように「医師の偏在」が挙げられます。先ごろ発表されました「医師偏在指標」においても、最も数値が高い東京都と、最も数値が低い新潟県では約2倍の差があることが示されています。この「大都市などの医師の多い場所」と「地方の医師の少ない場所」の格差が大きなものになってしまっていることが問題であります。

県ではこれまでこうした医師不足対策に「地域保健医療計画」等に基づき、地域の実情に応じた医療機能の充実、医師確保対策の推進に取り組みながら、地域で必要とされる医療を提供できる体制づくりに取り組んでこられました。

各政策の中でも、愛媛県地域医療医師確保奨学金貸与制度についてお尋ねいたします。

この制度は将来、愛媛の医療に携わっていただく医師育成のため、奨学金の貸与を行っている制度であります。平成21年度から始まったこの制度は愛媛大学医学部等の地域特別枠定員の学生に対して、入学料や授業料に加え、生活費として月額100,000円を貸与するものであります。この医学部定員における地域特別枠制度、いわゆる地域枠医師制度は令和3年度までの予定でありますが、国において令和4年度以降の医学部入学定員や地域枠医師制度のあり方の協議を進めるにあたり、地域の実情や都道府県の意見などを十分に反映することを国へ要望しているところでもあり、県としても継続する必要があると考えます。

本県の場合、在学中の6年間で貸与される奨学金は1,000万円を超える額になりますが、3年間の研修期間を含む9年間、知事が指定する医療機関で勤務した場合は全額免除されることになっております。しかしながら途中で辞退したり、義務年限満了前に離脱した場合は年率10%の利息がついた額を一括返還しなければならないことになっており、例えば義務年限満了の最終年になんらかの事情で離脱しなければならない場合、約1千万円の利息がつくことになります。このことは業務上での万が一の事故があった場合など、知事の裁量で免除することができるとなっていますが、原則としてそれまでに指定医療機関で勤務したことによる減額はありません。この奨学金制度は、地域における医療確保を目的とした制度であり、利用者も本県で働く意思を持って、返済免除となることを前提に貸与を受けていることと思いますが、止むを得ず人生設計の修正が必要になった場合に、多額の返済額がのしかかり過ぎることを防ぐためにも、それまでの指定医療機関での勤務年限を地域に貢献した年数として、年数に応じた返済額の減額を行うことも、広く人材を確保するためには必要なことではないかと思います。

また、「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、2018年末の医療施設に従事する女性医師は前回より6.2%増加し、男性医師の1.3%増加を大きく上回っております。年齢階級別に見ると年齢階級が低くなるほど女性医師の割合が多くなり、「29歳以下」では35.9%で、3分の1以上が女性医師となっております。この様な中、育児休業後、育児をしながらの勤務について多様なライフスタイルを尊重しながら地域枠医師としての任務を果たしてもらうためにも、保育等の育児環境の整備なども含め、ライフステージに応じて働きやすい環境づくりが重要であると考えます。

さらに、地域枠の女性医師が出産や育児で休業し、何らかの事情で離脱することとなった時には奨学金を返還する際に、育児休業期間についても年率10%の利息が発生します。これは、我が県も民間も含めて、育児休業を取得することを推し進めている中にあって、地域枠医師として働く女性にとって金銭的リスクも高く、人生の選択肢が狭められてしまい、女性医師確保の妨げに繋がってしまう可能性もあるのではないでしょうか。

こうした地域枠医師制度は調査したところ、他の県でも本県と同様なシステムが多いようですが、今後も本県の医師不足が懸念される以上、愛媛県はそれぞれの人生設計にも配慮した奨学金制度に見直しをして、より多くの人材の確保に繋げることも一考に値すると考えます。

そこでお伺いいたします。

幅広い人材を確保するためにも、育児と仕事の両立を図る女性医師を始め、多様な価値観に基づく人生設計に配慮した地域枠医師制度にするため、どのように取り組んでいくのか、お聞かせください。

 

答弁(保健福祉部長)

本県の地域医療医師確保奨学金制度は、平成21年度に国の医学部定員増に併せて創設したものであり、厚生労働省によると、全国の地域枠医師の約7割が、本県と同様に返還利息が付される奨学金の貸与を受けており、そのうち離脱時に本県と同様の年利10%が適用されている者が約9割となっている。

また、本県が奨学金を貸与している209人のうち、女性が76人、約36%となっている。これら地域枠医師の定着促進に向けて、現在、国の検討会において、奨学金制度のあり方などについて議論がなされていることから、国の検討状況や他の都道府県の動向を注視しているところ。

県としては、女性医師も含め、全ての医療従事者にとって、ライフステージに応じた働きやすい環境づくりを進めることが重要であると考えており、院内保育所の運営費の補助や、県医師会と連携した女性医師就労支援相談窓口の設置などに取り組んでいるところであり、今後とも、これらの施策も進めることで、地域枠医師が本県で安心して働き続けられるよう努めて参りたい。

 

次に、松山外環状道路についてお尋ねいたします。

 

松山外環状道路は慢性的な渋滞が発生する松山環状線の外側に位置し、松山港や松山空港、松山インターチェンジ等の広域交通拠点や物流拠点、観光地を結ぶことでアクセス性向上に寄与するほか、国道196号や56号、33号、11号といった松山市内中心部と郊外をつなぐ主要な国道を連絡する地域高規格道路で、松山市外や郊外から市内中心部へ流入する交通を分散することで、市内の交通渋滞解消につながることが期待されており、国・県・市の3者の協同により、現在整備が進められております。

国道33号から国道56号間のインター線の4.8kmは平成28年に全線開通しており、国道56号から松山空港までの空港線の3.8kmは側道部の2.4kmが平成29年に開通し、本線部の開通が待ち遠しいところであります。

松山臨海部へのアクセス向上という視点で見れば、松山臨海部には四国第2位のコンテナ貨物量を誇る松山港や、乗降客数四国第1位の松山空港が存在します。

これまでの開通により、松山臨海部から松山I C間のアクセスは大幅に向上され、事業のさらなる進展により、国道11号や国道196号までの延伸も実現すれば愛媛県の人流・物流の効率化が図られ、更なる地域活性化、渋滞解消の効果が得られるものと考えます。

平成30年10月に公表されている、「平成29年9月18日に開通した「松山外環状道路空港線 側道部」の開通一年後の整備効果」によりますと、松山空港と松山I C間の所要時間が約11分(4割)短縮され、所要時間のバラツキが少なくなり、定時性が向上したとのことであります。また、市道松山環状線などを利用していた車両が松山外環状道路へ交通ルートを転換したことにより、市内南部エリアにおける渋滞損失時間が約2割減少するなどの効果が報告されております。市内南部に位置する小学校の児童、158名のうち、約5割の児童が道路を安全に渡れるようになったと実感し、また、道路を横断する待ち時間が減ったと実感したとの感想があったそうです。

また、松山外環状道路インター線の交通量は1日約19,000台で、空港線側道部の開通により、1日約6,400台が増加しており、代わりに、既存の渋滞が多数発生していた旧空港通りは1日約2,500台、市道松山環状線が約800台減少しております。

このように、社会資本の整備を進めることによって、人の流れ、物の流れがスムーズになることは地域経済にとっても大きなプラス要因になると考えます。平成30年に事業化された国道33号と国道11号を結ぶインター東線についても、早期着工が期待されており、沿線住民からも事業完成後の効果発現が大いに期待されているところであり、私にもこの道路の開通がいつ実現するのかとの声が多く届いております。

そこでお伺いいたします。

松山外環状道路における空港線及びインター東線の進捗状況と今後の取組みはどうかお尋ねいたします。

 

答弁(知事)

松山外環状道路は、松山ICと松山空港などの交通拠点間のアクセス向上や、市内中心部の慢性的な渋滞緩和など、松山都市圏の機能向上に必要な地域高規格道路として、国・県・松山市が整備を進めており、インター線と空港線側道部の開通により、松山ⅠCと松山空港間のアクセスが大幅に改善し、えひめ国体・えひめ大会でも選手や観客の円滑な輸送に寄与するなど、両大会成功の一助となったところ。

現在整備中の空港線については、これまでに余戸南IC~(仮称)東垣生IC間で用地買収が完了し、本線部の高架橋の下部工もほぼ完成しており、今年度は、国が上部工の工事等を進め、県が旧空港通りまでの側道部で工事を実施しているところ。また、インター東線については、30年度の事業化以降、国と市が測量・設計等を進めており、今年度はこれまでに地元説明会を終え、今後、用地取得に向けた調査に着手する予定と聞いている。

県としては、引き続き、国・県・市による緊密な連携のもと、空港線、インター東線の早期整備に全力で取り組むとともに、現在、未着手となっている空港~国道196号間についても、市内北西部の渋滞緩和や空港・港湾利用者の利便性向上等に、やがては不可欠になる道路であることから、早期事業化に向け、地元や物流・観光事業者などの道路利用者と共に、国に対し必要性と重要性を強く訴えて参りたい。

 

次に幼児教育・保育の質の確保についてお伺いいたします。

 

幼児教育・保育の無償化がスタートして間も無く一年を迎えようとしています。昨年11月に保育に特化した事業を運営する民間企業が、2020年4月から保育園や幼稚園などの施設に子どもを通園させる予定の、29歳から34歳の保護者を対象に、「幼児教育・保育の無償化をきっかけに利用しようと思った施設、サービス」について尋ねる調査を行ったところ、31.5%の人が「保育園や幼稚園などの施設の通常利用」と回答し、3割の保護者が幼保無償化をきっかけに新たに施設の利用を検討したことが明らかになりました。また、調査結果からは、幼保無償化が「幼稚園の預かり保育」「保育園の延長保育」「幼稚園の後に保育園の延長保育」を利用するきっかけとなった傾向もうかがえました。

この調査によりますと、すでに通園させている人と2020年4月から通園させる予定の人の希望施設を比較すると「認可保育園」が前年比6.6ポイント減少したのに対し、「幼稚園」は前年比8.1ポイント増加していました。その理由は「無償化がはじまり、安く通えるから」といった回答もあり、幼保無償化が新たな潜在ニーズの掘り起こしにつながったと言えるのではないでしょうか。

一方で、こうしたニーズの多様化により受け入れる施設側への負担が大きくなっていくことも想定されます。

施設ではこうした多様化するニーズに対応するため、新たな人材の確保や人材の定着が必要になるなど、幼児教育・保育の質の確保も重要になってきます。質を確保する上で必要となることは、研修などによる人材の育成ですが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、一か所に集まっての対面研修を行うことが難しくなっています。その代わりに、「オンライン研修」が全国的に増えてきているものの、各園での通信環境にはばらつきがあり、環境の不備を理由に研修への参加を断念するようなことがあれば、子どもたちの教育、保育のための質の確保に格差ができる可能性もあります。このため、各施設での通信環境整備は喫緊の課題となっており、県の支援なども含め対策が必要となってきていると考えます。

また、愛媛県では、「保育士等キャリアアップ研修」を愛媛県保育協議会に委託し、保育士の研修の充実を図られていますが、一方で私立の幼稚園教諭に対しては、一般財団法人愛媛県私立幼稚園協会が行う研修がキャリアアップのために実施されているものの、開催に係る経費は全て団体及び参加者が負担しており、研修の回数も十分だとは言えない状況であります。また、県総合教育センターが行う研修についても、大人数での参加は見込めず、私立幼稚園の幼稚園教諭の研修の機会が限定的となっているなど、幼児教育・保育の質を確保するためには、より一層の研修体制の充実や支援も必要となってきております。

そこでお伺いいたします。

幼児教育・保育の無償化により多様なニーズへの対応が求められている中、オンライン研修への対応などの環境整備や、幅広な研修機会確保への支援が必要だと考えますが、幼児教育・保育の質の確保のため、幼稚園や保育園等での人材育成の支援にどのように取り組んでいくのかお聞かせください。

 

答弁(保健福祉部長)

本県では、幼児教育・保育の無償化に伴う子育て世帯の経済的負担の軽減や、女性の社会進出に伴う共働き世帯の増加等により、幼稚園の預かり保育などの利用者が増えており、幼児教育・保育の質を確保し、人材育成を図っていくことが重要と認識している。

県ではこれまでも、リーダー的役割を担う保育士等を養成するキャリアアップ研修の実施や私立幼稚園教諭等を県総合教育センターが実施している公立関係者対象の研修に可能な範囲で受け入れるなど、資質の向上を図るとともに、保育士が本来業務に集中できるよう、保育支援者等を活用し業務負担の軽減を図っているところ。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響により、研修の多くがオンライン方式に移行する中、受講機会を逃すことのないよう、今年度、必要な園に対して端末機器等の整備に補助を行うなど、人材育成の支援に取り組んでいるところであり、今後とも、子育て世帯が安心して子どもを預けられる環境の実現に向け、幼児教育・保育の質の確保に努めて参りたい。

« 前のページに戻る