平成27年2月議会一般質問(全文)

自由民主党の松尾和久でございます。
県議会に初当選をさせていただいてから、早くも4年の任期が終えようとしております。
昨年12月に行われました衆議院選挙では、安倍政権が継続する結果となりました。安倍政権は、地方の創生を大きな政策の柱に据え、地方の活力を取り戻そうと呼びかけております。このときこそオール愛媛で、我が愛媛も未来を見据えて諸課題に取り組んでいくときだと考えます。
7回目の一般質問になりますが、今任期最後の質問でもあり、愛媛の未来のために理事者の皆様の前向きな御答弁を期待して、質問に入らせていただきます。
まず初めに、CLTについてお尋ねいたします。
CLTとは、クロス・ラミネーティッド・ティンバーの略で、交差積層された木材という意味です。既存の集成材と合板をかけ合わせたような木質材料で、大きな特徴は、立てれば柱と壁、寝かせれば床と梁の役目を果たし、非常にシンプルに建物を建てられることです。ヨーロッパや北米では、既に戸建て住宅だけでなく集合住宅の建設にも使用されており、日本においても新しい木質材料として注目されております。
強度性能や耐震性、耐火性など一定の性能を有し、ヨーロッパではコンクリートの代替材料として使われるようになり、ここ数年、3階から5階建ての中層集合住宅が中心ではありますが、中には9階、10階建てのマンションやオフィスビルも建てられるようになってきております。
そのような中、昨年10月に農林水産委員会の県外視察で鹿児島県の山佐木材株式会社を視察させていただきました。山佐木材は、日本で2番目にCLTのJAS認定を取得されたCLTに関して国内のトップランナーであります。また、平成26年度の林野庁委託事業のCLT等新たな製品・技術の開発促進事業を受け、中高層鉄骨造建築物の床にCLTを利用することを具体的目標に掲げ、実証実験に取り組まれております。既にCLTを使用した実験棟を数日で建てるなど先進的な取り組みを視察させていただき、国内の木材利用の促進など、その可能性を大いに感じました。
県におかれましては、林業を地域の成長産業に育成するため、今年度から林業躍進プロジェクトを立ち上げ、川上から川下にわたるまで関連産業の発展に積極的に取り組まれております。中でも、国内において急速に関心が高まっているCLTについて、来年度予算に県産CLT普及促進事業費を計上し、CLTの普及促進を図ることとされております。CLTの普及は、県産木材の需要拡大や雇用創出をもたらし、ひいては林業の発展にも大きく寄与することが期待されています。
そこで、お尋ねいたします。
県では、CLTの普及に向けて、今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
次に、消防団員の確保対策についてお伺いいたします。
皆様御承知のとおり、消防団は、常備消防と言われる消防本部、消防署とともに法律に基づいて設けられている非常備の消防機関であります。その構成員である消防団員の皆様には、お忙しい仕事の傍ら、みずからの地域はみずからで守るという崇高な郷土愛護の精神のもと、強い責任感を持って昼夜を問わず献身的に消防・防災活動に取り組んでいただいております。
また、東日本大震災を初め全国各地で地震や集中豪雨等により大規模災害がたびたび発生しておりますが、その際には、消防団の即時対応力、要員動員力、地域密着力といった特徴をいかんなく発揮して多くの消防団員の方々が出動し、災害防御活動や住民の避難支援、被災者の救出・救助などにおいて大きな成果を上げており、地域住民の方々からも高い期待が寄せられているところであります。
このように、消防団は、地域における消防防災体制の中核的存在として、地域住民の安全・安心の確保のために果たす役割はますます大きくなってきております。
一方で、人口減少や少子高齢化、就業者のサラリーマン化の進展等の社会環境の変化により、団員数の減少、団員の平均年齢の上昇などさまざまな課題に直面しており、防火、防災活動の担い手を十分に確保することが難しくなるなど、地域における防災力の低下が懸念されております。
私も、住居のある松山市で消防団員の一員になっております。入団して3年ほどたち、見回りなどに出動しておりますが、緊急の出動の場合、この3年余りの間に出動機会は数回ありましたが、実際に出動できたのは2回でありました。しかしながら、松山市ではまだ人員も確保でき、他の団員仲間が出動して活動には支障を来しておりませんが、私のふるさとであります旧中島町においては、まち全体の高齢化が進むのと同時に消防団員の年齢が上昇しており、即応力、動員力などに不安を感じております。
本県全体で見てみましても、消防団員数は、平成26年4月1日現在2万543人で、平成元年の2万2,544人に比べ約2,000人減少しており、団員数の減少に歯どめをかけ、増加に転じさせることが急務となっております。
このような中、平成25年12月の臨時国会で、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律が超党派の議員立法により成立いたしました。この法律は、東日本大震災の教訓を踏まえ、消防団を将来にわたり地域防災力の中核として欠くことのできない代替性のない存在と位置づけ、消防団員の加入促進、処遇改善、装備・教育訓練の改善について、国及び地方公共団体に必要な措置を講じることを義務づけるとともに、企業、団体、住民の総力を結集して地域防災力の充実強化を図り、住民の安全確保に資することを目的としたもので、我が国の消防においては画期的な意味を持つ法律となっています。
本県においても、近い将来、南海トラフ巨大地震などの大規模地震の発生が懸念される中、県内の各市町では、これまでも女性や大学生といった幅広い層への働きかけを初め、郵便局職員で構成される分団、大規模災害時のみに出動を限定した団員、消防職員OBである団員などの機能別団員・分団制度の導入、消防団協力事業所表示制度の活用などに取り組んでいただいているほか、愛媛県消防協会が中心となり、消防団員が飲食店や商店で各種サービスや割引等の優遇措置を受けられるえひめ愛顔で消防団員応援プロジェクトがスタートするなど、地域ぐるみで消防団をサポートする体制づくりも進んでいると承知しております。
しかしながら、今回の法律の成立を踏まえると、県におかれましても消防団の充実強化に向けた取り組みをより一層強化しなければならないと思うのであります。
そこで、お尋ねいたします。
消防団の充実強化に向け、消防団員を確保するため、県として今後、どのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
次に、水田農業の振興についてお伺いいたします。
米は、日本国民の主食として古くから国を挙げて品種の開発や栽培技術の改良に取り組んできており、平成25年の産出額は1兆7,807億円に達し、我が国の農業、農村を支える土台になるとともに、その品質の高さやおいしさは世界一と評価され、将来に向けて有力な輸出農産物の一つと考えられております。
しかしながら、農林水産省によりますと、平成26年産米の価格は、全国的な作柄は作況指数101の平年並みではありましたが、消費量の減少や在庫数量の増加等から大幅に価格が低迷し、農業経営を圧迫する状況となっております。本県の米の価格も、平成25年産に比べて平成26年産の価格は2割程度も低下していると聞いております。
さらに、人口減少や高齢化による担い手不足により耕作放棄地が増加するなど、先人のたゆまぬ努力で積み上げられてきた水田農業の行く末を案ずる声があるのも事実であります。私も5反ほどの田で米づくりをしておりますが、周りの田でも年を重ねるごとに米づくりをやめてしまうところも増加してきております。現在は、まだ近所のつくれる人がその田を預かり、米づくりをしてくれているので耕作放棄地にならなくて済んでいますが、5年後、10年後のことを考えると、誰がそれを担っていくのか大変心配であります。
このような中、国においては、緊急的な米の価格浮揚対策として、国を中心とした主食用米の市場隔離や米農家に対する経営安定支援策等が講じられたところであります。また、高齢化社会の進行や食の多様化により、今後も米の消費減少が続くことが予想されるなど需給バランスが依然として厳しい状況の中、平成30年度を目途に、米政策を大転換し、行政による需給調整対策、いわゆる減反を見直し、意欲ある農業者を大きく育てるために、主食用米の需給動向等をもとにみずからの経営判断により麦、大豆や飼料用米等の作物を選択し水田農業を展開できる体制づくりに向けて、環境整備を進めていると聞いております。
このような大きな方向転換は、我が国の食料自給率や農家の所得向上につながるものと大いに期待する半面、中山間地が多く農家の経営規模が小さい本県の水田農業にあっては、本当に米の需給調整をなくしてしまって、水田農業を生産現場主体の農業へとスムーズに移行できるのか危惧しているところであります。また、米を初めとする農産物を安定して生産していくためには、消費者や市場の情報を正確に把握することが、今後、ますます重要になってくるものと思われます。
そこで、お尋ねいたします。
平成26年産米価格が低迷し、国の米政策も見直されようとしている中、県は本県の水田農業の振興を今後、どのように進めていかれるのか、お聞かせください。
次に、県立高校における教育の情報化の推進についてお伺いいたします。
文部科学省では、平成23年4月に取りまとめた教育の情報化ビジョンにおいて、ICTを活用し、その特性を生かすことによって、我が国の子供たちにとって課題となっている思考力、判断力、表現力等を育み、変化の厳しい社会を担う子供たちの生きる力の育成につなげることとしております。そして具体的な方策として、2020年に向けて生徒1人1台のタブレット端末の配備、電子黒板や無線LAN環境の整備、デジタル教科書・教材の活用等、教育環境自体のICT化を進め、21世紀にふさわしい教育の実現を目指すこととしております。
また、民間レベルでは、先日、教科書会社や教育関連企業でつくる団体など合わせて9団体が、デジタル教材普及のための協議会を立ち上げるというニュースがありました。この協議会では、技術的な規格がばらばらで教材によって利用できる端末が限られたり学習の記録がやりとりできなかったりする支障をなくすため、システムや操作方法の統一を目指し、デジタル教材やサービスの普及を進めていきたいとしています。
さらに、文部科学省の専門家会議が、テレビ会議システムなどを使って離れた場所で学ぶ遠隔授業を全国の高校で認める方向で検討を進めているとの報道もありました。今後、見込まれる人口減少の影響から高校の統廃合が進むことも考えられますが、過疎地域の高校にとっては、遠隔授業が高校を存続させる一助となるのではと期待されています。また、過疎地にとどまらず、遠隔授業により特別な支援が必要な生徒に対する個別の学習ニーズへの対応が可能となるほか、授業の中に大学などの専門性の高いすぐれた講義、講演を取り入れる等、より質の高い、バラエティーに富んだ教育を行うことも考えられます。
このように、ICTの活用は、現在の教育や学校のあり方を変える可能性を含んでいるものと期待するところであります。このため、地方公共団体でもICT機器の導入が検討されており、佐賀県では平成25年度までに県立学校の全校、全教室に電子黒板を整備したほか、26年度から新入生全員にタブレット端末を購入させるなど、文部科学省の目指す教育環境の実現に向けて積極的に取り組んでいると聞きます。
このような中、本県の電子黒板の普及状況を見てみますと、小中学校ではほとんどの学校に、県立高校でも2割程度に設置されておりまして、今後とも電子黒板やタブレット端末は一層の普及が進むと見込まれております。しかしながら、導入後の課題として、操作方法が難しい、どう活用していいかイメージが湧かないといった理由から十分に機能が生かされていないケースも多いと聞き及んでおります。
そこで、お尋ねいたします。
県立高校における電子黒板やタブレット端末の利活用の促進にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、人身安全関連事案に対する今後の取り組みについてお伺いいたします。
平成25年10月に東京都三鷹市において発生した、当時21歳の男が元交際相手の女子高生の自宅に侵入し、帰宅した女子高生を殺害した事件など、社会的に注目を集めているストーカー、DV等の人身安全関連事案は、日々の生活における安全・安心を脅かす卑劣な犯罪として国民、県民の体感治安にも大きな影響を与える一因であると考えております。
このような人身安全関連事案への的確な対応が求められる中、先般の県警の人事異動の新聞記事によりますと、増加傾向にあるストーカー、DV、虐待等に対応するため警察本部に人身安全対策室を新設し、体制を強化するという内容がありました。体制の強化はまことに時宜を得たもので、県民のさらなる安全・安心の確保につながると期待しております。
この種の事案については、検挙されることを顧みず大胆な犯行に及ぶなど事態が急展開して重大事件に発展するおそれもあり、危険性の判断を適切に行い迅速に対応することが必要であります。また、犯人を検挙して終わりではなく、被害者やその家族に対する継続的な保護活動等の事後の対応が必要とも伺っております。県警を初め、対応に当たられる関係機関の皆様の御労苦に対し、県民の一人として心から敬意を表し感謝を申し上げるとともに、来年度からの設置が予定されております愛媛県福祉総合支援センター等の関係機関、団体との連携にもしっかり配慮し、引き続き、県民の安全・安心の確保に向けて、県警にはしっかりと取り組んでいただきたいと考えております。
そこで、お尋ねいたします。
このたびの体制強化も踏まえ、人身安全関連事案に対する今後の取り組みについて御所見をお聞かせください。
次に、特殊詐欺についてお伺いいたします。
昨年の犯罪情勢を見てみますと、治安水準をはかる一つの目安である刑法犯認知件数は、全国では平成14年をピークに12年連続で減少しており、本県においても、統計をとり始めた昭和22年以降、最多であった平成15年に2万7,380件を記録した後、連続して減少を続け、昨年は1万2,599件とピーク時に比べ半数以下となっております。このように戦後最良の治安水準を実現した背景には、県警による犯罪抑止や検挙活動、さらにはそれを支える関係機関、団体の並々ならぬ御努力があることは十分承知しております。
しかしながら、報道によると、全国では昨年の特殊詐欺による被害額が過去最悪の559億4,354万円に上るなど、おれおれ詐欺や架空請求詐欺等の振り込め詐欺事件が急増しております。そのような中、全国的に特殊詐欺対策は強化されてきており、だまされたふりをして現金の受け取りなどの際に犯人を逮捕するだまされたふり作戦など、さまざまな取り組みがなされていると聞きます。
本県においても、昨年の特殊詐欺による被害件数は124件で、前年比で2割増加し被害額は約5億円に上るなど、刑法犯認知件数が減少する中で特殊詐欺による被害が増加しております。本年に入ってからも、県内の高齢者に対して、息子を名乗るおれおれ詐欺や市役所職員を名乗る還付金詐欺等の電話が多数かかっていると伺っております。また、高齢化の進行や核家族化に伴う人間関係の希薄化、さらには個人情報の流出事案の増加等社会環境が大きく変容する中で、この種の特殊詐欺は今後、さらに増加するのではないかと危惧しているところであります。
そこで、お尋ねいたします。
県警におかれましては、刑法犯認知件数の本年の数値目標を昨年よりも1,000件少ない1万2,500件未満に設定し、これを県民に約束されております。これまで以上に、金融機関等関係団体と連携した官民一体となった各種施策に取り組んでいかれるものと期待しております。その中でも今後、件数、被害額ともに増加が懸念されている特殊詐欺について、いかに抑止するかが目標達成のための大きな課題になると考えますが、県内における特殊詐欺の現状とその対策についてお聞かせください。
以上で質問は終わります。
今任期で5名の先輩議員が御勇退されますが、自民党の先輩議員はもとより、党派は違えどもそれぞれのお立場で県民のためにとの思いで議会での論戦を張られるなど、1期生の私には先輩議員から学ぶことも多く、この場をおかりして、これまでの県政発展に対する取り組みに敬意と感謝を申し上げたいと思います。
皆様がこれまで築いてこられたこの愛媛を継承し、明るい未来を築いて次代へと引き継ぐことが私たちの使命だと思います。これからも私自身、県民の皆様からいただいた負託に応えるべく、議員として一生懸命に努めていくことをお誓い申し上げまして、今任期最後の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。

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